それっぽいデザイン(日本2):猫でもできるグラフィックデザイン90
「それっぽいデザイン」について考察をしています。引き続き、「日本」をイメージさせるデザインについて考えてみましょう。風土、歴史、文化、宗教、経済などいろいろな視点でみながら、日本人が思っている「日本」と海外の方が思っている「日本」について追っていきます。
前回のコラムで挙げた「日本をイメージさせるもの」を分類してみると、
風土:富士山、桜
歴史:芸者、忍者、侍、ちょんまげ、日の丸、着物
文化:テレビゲーム、ポケモン、漫画、アニメ、柔道、空手、黒澤明、KAWAII
宗教:相撲、寺社仏閣、禅
経済:電化製品、自動車
という感じに分けることができそうです。
富士山や桜は、日本人にとっては「日本の心」ともいえる存在ですが、たとえば富士山は成層火山ですので、世界中に似た雰囲気の山がいくつかみられます。チリのオソルノ山や、ノアの箱舟で有名なトルコのアララト山などが有名です。また、桜は我々が思っている以上に世界で愛でられており、特にアメリカのワシントンの桜は世界的にも有名です。
日の丸は国旗ですので、国を表すシンボルとしては一番ハズレがなさそうです。一方で、芸者、忍者、侍、ちょんまげ、着物などは、海外の映画やTV番組などでも登場することがありますが、過剰な演出がなされることも多く、我々の思っているものとは少し違うイメージが広まっていそうです。「忍者」は欧米でも人気のコンテンツといえるでしょう。
テレビゲーム、ポケモン、柔道、空手、黒澤明などは大人であれば「日本」を想起してくれそうです。漫画、アニメ、KAWAIIなどは現在、そしてこれからの日本のイメージを支えるコンテンツかもしれません。ただ、韓国や台湾などの追い上げも目覚ましい分野なので、何もしないままでは日本のコンテンツから東アジアのコンテンツになってしまうかもしれません。
相撲はユニークでキャッチーなコンテンツですが、どちらかというと「イジる」感じで扱われることが多いように思います。その本質が伝わるためにはもう少し時間がかかりそうです。寺社仏閣、禅はもちろん日本の文化のひとつですが、中国や韓国、タイなどと混同されることも多そうです。
電化製品や自動車は日本を代表する産業で、世界各地で日本の製品を目にすることの多かった分野ですが、1990年代以降は中国や韓国などの成長に押され、同時に日本の製品の特徴であった「先進性」や「安定性」も徐々に失われており、海外の若い世代が日本の製品を名指しで欲しがることは少なくなっています。