それっぽいデザイン(広告7):猫でもできるグラフィックデザイン87
「それっぽいデザイン」についてみています。引き続き折り込み広告のデザインについてです。旅行会社の折り込み広告は、楽しく明るいイメージで作られる一方で、価格や諸条件についての記述は細かく書いてあり、そのバランスがデザインの肝となっています。
旅行は大きく分けて「国内旅行」と「海外旅行」に分けることができます。国内旅行も海外旅行もどっちも楽しむ、という方ももちろんいますが、多くはどちらかを専門で楽しんでいるようです。2000年代に入ってからの統計では、国内旅行を楽しむ人は年間でのべ1億5000万ほど、海外旅行を楽しむ人は年間でのべ2000万人ほどいるようです。
海外旅行にはエンターテイメントを、国内旅行には癒やしを求める傾向がある、と言われています。どちらかといえば、旅行を国内/海外で分けるよりも、「癒やしを求める旅行」と「エンターテイメントを求める旅行」にわけて考えても良さそうです。
エンターテイメントを求める旅行先では、台湾や韓国での食べ歩きや買い物、東京ディズニーランドやユニバーサルスタジオジャパンのようなテーマパークが人気です。一方、癒やしを求める旅行先では、グアムや東南アジアなどのリゾート地や、国内の温泉などが人気です。
この傾向は旅行会社の広告のデザインにも現れています。広告を遠目に見たとき、色数が多く、きらびやかな方がエンターテイメント的な旅行の広告で、おとなしめでアースカラーを使っている方が癒やし的な旅行の広告です。
旅行は体験型のビジネスですが、旅行会社が何をどこまでサポートするかによって価格が変わります。価格を安くみせて集客するのは定番の手法ですが、表示価格以外にも燃油サーチャージや空港施設利用料、空港保安料、海外空港諸税、現地でのガイド代金などが必要な場合もあり、慣れないと総額でいくらかかるのかわかりません。
この「他にかかる費用」は、広告上に記載する必要があるため、たくさん注意書きを書き添えることになります。その結果、行き先、期間や出発日、料金に加えて、注意書きの羅列が面積を占めることになってしまいます。これが消費者にとってわかりにくいことを気づいた旅行会社は、「すべてコミコミ」とか「ラクラクパック」などと銘打って、わかりやすい料金体系の旅行パックを企画しています。
場所名をタイトルとして、風景やホテルの写真を背景に、価格や期間、日付を組み合わせると「旅行会社っぽい」デザインに仕上げることができるでしょう。