それっぽいデザイン(広告2):猫でもできるグラフィックデザイン82
「それっぽくなるデザイン」について考えています。数ある広告のデザインの中でも、一番広告らしいともいえる家電量販店や食品スーパー、ドラッグストア、中古車販売などで用いられるデザインについてみてみようと思います。
これらのお店では、商品数の多さが共通点のひとつです。たくさんある商品の中でも「目玉」となるような、魅力的な価格をつけた商品を羅列することで、広告を手にした人の来店を促します。
実は、同じ商品を扱う近隣のお店と比較して価格を一番安くしている商品や、お店の利益をゼロやマイナスにしてでも目玉としている商品は、広告に掲載している中のごく一部なのですが、掲載する大きさや位置、デザインの派手さを調整することで強弱をつけながら、取扱商品数の多さと全体的なお得さをうまく演出します。
食品スーパーやドラッグストアなどのお店が扱ういわゆる「最寄り品」は、単価が低く、購買頻度が高いので、消費者が購入に際して時間をかけることはほとんどありません。とはいえ、「毎日のこと」なので、自宅から近い場所で、少しでも安く、そしてできるかぎりいろいろな商品を解体、というのが消費者の心理です。それを的確に可視化したのが折り込み広告のデザインなのかもしれません。
一方で、家電や中古車は「買回り品」と呼ばれます。単価が高く、購買頻度が低いので、じっくりと選んで探す商品です。とはいえ、九州に住んでいるのに北海道から車を買ったり、海外から大型テレビを購入したりすることはほとんどないはずです。購入時だけではなく、以降のトラブルやメンテナンスのことを考え、できる限り近くで購入することも多いでしょう。いざ購入しようとしたときに、どの販売店が頭によぎるかどうかは、継続して折り込み広告を入れているかどうかにかかっているのではないでしょうか。
このように違う属性の商品が、ほぼ同じ印象の折り込み広告となるのは興味深いところです。賑やかさを重視したり、商品数の多さや目玉商品の存在がポイントだったりなど、異なるようで似ているところの多いビジネスモデルなのかもしれません。
また、集客しやすい土日や祝日前には、積極的に販売企画や集客イベント行います。これをかなりのスペースを割いて告知するのも特徴と言えそうです。最寄り品を扱うお店では変化を演出することで消費者が飽きないような、買回り品を扱うお店では消費者が来店するきっかけになるようなイベントが良さそうです。