アクションを促すデザイン(回す3):猫でもできるグラフィックデザイン66
アクションを促すためのデザインについて考えています。回して使うノブ型のユーザーインターフェイスは、音量の調整などのように「段階的」ではなく「連続的」な変化が望ましい値の設定に向いていることがわかりました。今回は回す操作を促すデザインについて具体的に考えます。
回転するもの/されるものの例を上げたときに、その形が「円」であるところまではわかりました。円は外側からの物理的な力に対して強い形であり、絶対的な美しさも備えていることから、身の回りのいろいろな場面でみることができます。これらが「回せるものである」あるいは「回せるものではない」と判断する基準はどこにあるのでしょうか。
ひとつは「円周囲の刻みの有無」です。手で操作するノブタイプのUIの大半に、滑り止めのための刻みが彫られています。力をあまり必要としないノブではフラットなこともありますが、これはうっかり触ってしまっても問題がないスイッチであることも示しています。
現在の設定を変更する場合によく考えて操作してほしい場合は、ノブの回転を固くして、うっかり作動させてしまうエラーを回避します。一方で固いスイッチは使いにくいので、周囲に刻みを彫ることでしっかりとつかめるようにします。一度掴んだものは指の力ではなく腕の力で回すことができるようになりますので、「気軽に回してほしくない」けれど「回すときには簡単に回したい」という要求を同時に満たすことができるわけです。
ダイバー用の腕時計である「ダイバーズウォッチ」には、潜水時間や酸素の残り時間を計算したりするための回転ベゼルが搭載されていますが。ある程度力がなければおいそれと回転できないほど固くしてあるベゼルもあります。ただ、ベゼルにはしっかりと溝が彫られており、グローグをはめたままでも操作しやすいうえに、ダイバーズウォッチの視覚的な特徴の一つとなっています。
また「ベースに設置されている」ことも回せるもののデザインの特徴と言えるでしょう。回転運動をするためには回転の軸と、それを支えるベースが必要です。ベースの上に設置してはじめて、回転動作を促すことができます。
上で挙げた「円」「円周上の刻み」「回転を受ける土台」の3つの特徴は、回転させるものだけではなく、回転するものでもみられる特徴です。「円周上の刻み」は、タイヤの溝などが該当しますが、スクリューの羽などのように力を与える場所/与えられる場所が円周上にない場合は刻みがないものもあります。