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アクションを促すデザイン(回す2):猫でもできるグラフィックデザイン65

株式会社クローバーフィールドの経営理念
著者:YOSHIDA Takayuki
公開日:2018/05/24
最終更新日:2018/05/24
カテゴリー:技術情報
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回転するもの、回すもののデザインについてみています。回すタイプのインターフェースでは、押す/引くのインターフェースよりもより多くの情報を入力することが出来ます。

具体的な例として、ステレオセットなどで使われるアンプのボリュームについてみてみましょう。この手のボリュームでは、大抵は右に回すと音量が大きくなる仕様です。逆に言うと、一番左に回した状態では音量が最小、つまり無音の状態です。そこをゼロとして、仕様によっては際限なく右に回せるものもありますし、360度以内の範囲で最大音量に達するものもあります。

このとき、ノブの回転量と音量の変化量との対応をどうするかで、ボリュームの操作精度が決まります。ノブ型はアナログ的に細かく音量を調整できますので、ボタン型よりも沢山の状態を少ない操作で設定することが出来ます。

また、音量ゼロの位置(正確には音量ゼロの少し手前)に「電源OFF」の機能を持たせているノブ型のスイッチもあります。安価なラジオなどで採用されていることの多いユーザーインターフェースですが、驚くほど高額な高級アンプでも同様のUIを採用しているのは面白いところです。高級アンプとしては、出来る限りボタンなどのスイッチ類を減らすことで、音の調整が不要な完成されたアンプであることを謳いたいようです。

ボタン類の数を減らせたり、操作の手間が少なかったり、アナログ的な入力ができることはノブ型のインターフェースのメリットですが、一方でデメリットもあります。ひとつは、現在の状態がわかりにくいことです。特に無限に回転できるタイプのノブでは、ノブ側にも本体側にもメモリや指示針を表示しない事が多く、操作した結果の機械の作動状況をフィードバックとするしかありません。

また、指先や手先で何かを回転する行為は、押すや引くに比べると体に負担の大きいものです。これを受けて、子どもや老人、体の不自由な方向けの道具では、できるかぎり回転をしなくても使えるようにデザインされています。例えば、調味料や飲料の容器では、以前使われていたようなねじ込み式の蓋が改良され、180度回さずに開け閉めできるものや、押し込むことで密閉できるものが開発されています。

回転タイプのUIは、押すタイプのUIに変換することも出来ます。ボリュームのように数値を変化させるタイプのものはボタン2つで再現可能です。ただしこの方法ではアナログ的な調整は難しくなり、1から10に変化させるのに9回ボタンを押さなければいけません。ボタン型/ノブ型の選択はこのあたりを基準に判断するとよさそうです。

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