アクションを促すデザイン(回す1):猫でもできるグラフィックデザイン64
アクションを促すデザインについて考えています。前回までの押す/引くと比べると、応用範囲は狭いものの、実は使い勝手のよいインターフェースである「回す」デザインについて考えます。
いつもと同じように、回すデザイン/回るデザインの具体例について挙げていきましょう。「回すデザイン」としては、車のハンドル、ペットボトル入飲料の蓋、ダイアル式電話機、パチンコのハンドル、腕時計の回転ベゼル、ステレオアンプのボリューム、ドアノブなどが頭に浮かびました。一方で、「回るデザイン」は車や自転車の車輪、歯車、観覧車、航空機のプロペラ、換気扇、扇風機などを思いつきました。
当然のことですが、回るもの、回すものはいずれも「円」がデザインのベースになっています。これにより円の中心を軸にすれば、スムーズに回転運動を行うことができます。これは回すものでも、回るものでも同じです。
それぞれの動きを詳細に見てみると、興味深いことに気が付きました。回るもの/回すものの中に、回転の方向が一定のものとそうでないもの、また回転の角度が360度に至るものとそうでないものがあるようです。先にあげた例では、
回転の方向が一定である
・腕時計の回転ベゼル
・観覧車
・航空機のプロペラ
・換気扇
・扇風機
回転の方向が一定ではない
・車のハンドル
・ペットボトル入飲料の蓋
・ダイアル式電話機
・パチンコのハンドル
・ステレオアンプのボリューム
・車や自転車の車輪
・歯車
・ドアノブ
回転の角度が360度以上
・ペットボトル入飲料の蓋
・腕時計の回転ベゼル
・車や自転車の車輪
・歯車
・観覧車
・航空機のプロペラ
・換気扇
・扇風機
回転の角度が360度未満
・ステレオアンプのボリューム
・車のハンドル
・ダイアル式電話機
・パチンコのハンドル
・ドアノブ
というように分類することができます。これらの情報群からルールを見出すとすれば、「回転の方向が一定ではない/回転の角度が360度未満」は機械のユーザーインターフェースであることが多く、逆に「回転の方向が一定である/回転の角度が360度以上」は機械において仕事をする部分であることがわかりました。
ノブ(つまみ/取っ手)型のユーザーインターフェースでは、回転の角度を微妙に調整することができるので、入力する情報のバリエーションが多くなります。これはオン/オフの2つの情報しか入力できなかった押す/引くのユーザーインターフェースとは比べ物にならないほどの差があると言えるでしょう。