デザインの練習(名刺のデザイン7):猫でもできるグラフィックデザイン58
名刺のデザインについての考察の続きです。名刺に載せるべき内容と、その配置について考えましたが、今度は名刺の「裏面」に掲載すべき情報について考えます。
名刺の特等席は「表面の左上」です。これはいくつか理由がありますが、表面を見せながら手渡すことが一番の理由です。また、いわゆる「Zの法則」や「Fの法則」のような、視点の動きのルールは紙面でも当てはまるため、左上が一等地となります。さらに、右手で受け取って見たときに、指に隠れないのも左上です。
左上だけでなく、中央も良いポジションでしょう。さらに、最下部にも重要な情報を置くことができるのは前回書いたとおりです。一方で、裏面をみるは「名刺をひっくり返す」というアクションが必要です。Webサイトでいえば、1ページ目のファーストビュー以外の範囲、もしくは2ページ目以降のようなものといえるでしょう。裏面にはどんな情報をのせるべきでしょうか。
裏面に何か情報がある名刺とない名刺の割合は、感覚的には半々といったところでしょうか。歴史のある会社や大手ほど裏面は無地のままで、ベンチャー企業や個人の名刺では裏面に沢山情報を書いているように思います。
つまり、裏面は個人や会社が「何者なのか」「何をやっているのか」を補足するために用いられていることが多いようです。会社名ですぐ分かるような会社や、著名な人はわざわざ裏面を使ってアピールする必要はない、ということなのでしょう。
企業であれば、自社の実績や提供しているサービスなどを掲載していることが多いでしょう。ただ、スピーディーな経営判断が求められるベンチャー企業などでは、アピールする内容が目まぐるしく変わるため、その時の気分で内容を決めるとタイミングの悪い広告となってしまいます。これを鑑みて、名刺の裏には会社のヴィジョンやミッションなどの変化しないであろう内容を書くか、最新情報を提供できる別のツール、たとえばWebサイトやSNSへの誘導を載せるとよいかもしれません。
先に書きましたように、名刺の裏側に何かが書いてある確率は半々です。名刺をもらって、裏面に何か書いてあるかどうかをこっそり確認している人を見かけますが、おそらく会話のきっかけや話題を期待しているのでしょう。会話の中で自然に裏面をみてもらうのがスマートですが、たとえば渡すときにちらっと裏を見せてから表を渡すなどの工夫をしても良いでしょう。そこまでしなくても、というくらいの裏面であれば、おそらく無くても問題ない情報なので、裏面は無地にしてもよいかもしれません。