最後は泥臭い調整
高木です。おはようございます。
このブログで書くのはおそらく今回が初めてではないかと思います。
現在、クローバーフィールドではちょっとしたスマホアプリを開発しています。
本当に単純なものですが、人によってはとても有用なものです。
以前から何度も、私は絶望的に色覚がダメだということを書いてきました。
学校や病院で色覚検査を受けると、最初のひとつを除いて残りは全部わかりません。
仕事でも実際に支障が出ることが多く、一番困るのは赤色のLEDと緑色のLEDの区別がつかないことです。
赤色のLEDと緑色のLEDでは明るさが微妙に異なりますので、色が変化したことはわかるのです。
けれども、点灯しているLEDを見て、それが何色なのかはわかりません。
こういう有様ですので、何らかの補助具が必要になってくるわけです。
そこで、iPhoneのカメラで映した映像から取得したRGB値を表示し、それがどんな色なのかをテキストで表示するアプリを開発しています。
そうした機能を持つアプリはすでにいくつか公開されています。
しかし、どれも今ひとつ使い勝手がよくないのです。
最初に気になるのは、表示内容がマニアックであったり、難しかったりすることです。
RGB値やCMY値やHSV値ぐらいならいいのですが、Lab色空間やXY色度図なんかまったく必要ありません。
また色の名前についても、聞いただけではどんな色なのかまるで想像できないような難しいものに価値はありません。
ほかにも、ズーム機能がないなど、かゆいところに手が届かないことが多々あります。
今回開発しているアプリでは、小さな子供でも読めるように、ひらがなとカタカナだけで色名を表示しています。
また、色の固有名より、それがどんな色なのかを表現することに重きを置いています。
取得したRGBから色名を引き当てるというのは、簡単なようで結構奥が深い作業でした。
まず、カメラで取得した画像はそんなに鮮やかではないということです。
そのため、彩度や明度については、ある程度評価を甘くしなければなりません。
難度もアルゴリズムを調整しながら、試行錯誤を繰り返しました。
色相については一番重要な要素なので、手を抜くことができません。
私のようないわゆる色覚異常の人は、彩度や明度については何ら感覚が劣っていません。
むしろ、色覚のダメさ加減を補完するために、明度の感覚は普通の人より優れているぐらいです。
しかし、色相は自分では判断できないぐらいダメなのです。
色相に対応する色名については、最初マンセル色相環の24色、あるいはPCCSの24色相環を使おうと考えました。
しかし、知識がないとよくわからない色名があるので、もっと簡単にすることにしました。
次にPCCSの12色相環を考えました。
中学校の美術の時間に習う、黄、黄緑、緑、青緑、緑みの青、青、青紫、紫、赤紫、赤、赤みの橙、黄みの橙というやつです。
これなら義務教育で習うものだから難しくないだろうとも考えたのですが、できれば就学前の子供でも使えるものにしたい(だから、ひらがなとカタカナしか使わないのです)ので、さらに簡単にしました。
そうして決定した色相を表す名前は10種類です。
この10種類について、隣接する色名との境界を決定するのは、非常に泥臭い目視確認による方法です。
HLS値の色相を少しずつ変化させながら、それを何色とするのか閾値を調整する作業を行いました。
スマートさの欠片もない方法ですが、どんなものでも、最後の最後はこうした微調整がつきものではないかと思います。
こういう手間を惜しまないことがものづくりには必要ではないでしょうか。
まずは近日中に初回のリリースを行い、その後改良を繰り返していければと考えています。
日本人男性の20人に1人は色覚に何らかの異常があるとされます。
ニーズは結構あると思いますよ。