デザインの練習(ATMのデザイン8):猫でもできるグラフィックデザイン51
ATMのいろいろなデザインについて考えてきました。ATMを取り巻く環境を踏まえ、ATMの今後についての考察です。
現金を沢山納めた機械が街に沢山設置してあることは、よくよく考えてみるとかなりリスクのある状況です。これは現金を預かる銀行にとってもそうですし、そこで現金を出し入れする利用者にとってもそうでしょう。
海外では自動販売機をあまり見かけませんが、その理由はやはり商品や現金を放置しているのとかわらないから、だそうです。より効率よく現金を奪うことができるATMが、自動販売機よりも狙われやすいであろうことは想像に難くありません。現金は保管するのも、持ち運ぶのも危険が伴います。
そんな現金に代わり、クレジットカードや電子マネー、モバイルペイメントが普及し始めています。特に途上国では、インフラ整備のコストが低いこれらの支払い方法が一気に普及し、逆に現金はほとんど使えない状況です。こんな状況では、もちろんATMなども存在しません。そもそも、紙幣や硬貨を製作し、維持管理するのも相当なコストがかかります。このような背景もあり、国としても、銀行としても、もちろん利用者としても、現金なしで経済を回せるにこしたことはないでしょう。
日本もそうすればよいのですが、現金に限らず、一度整備したインフラの利用を急にやめるのは難しいそうです。これは、現在問題なく使える上に、多くの人がその仕組みに慣れており、またそれにまつわる仕事をしている方も沢山いるからです。特に日本ではその傾向が強く、システムのドラスティックなシフトが起るための閾値が高いように思います。
現金を使わない若い世代が大半になったり、観光や移民として外国人が増えたりして、国内に価値観の異なる人が増えてくれば、現金離れやモバイルペイメントの普及がさらに進むかもしれません。それまではしばらく、ATMのお世話にならなくてはいけなさそうです。
ATMが全く不要になる未来と現在との間では、どんな変化がありそうでしょうか。おそらく、現金とそれ以外の支払い方法とが共存するのをサポートする役割が求められそうです。ちょうど、各コンビニに設置されているマルチメディア情報端末とATMとが一体化するイメージです。マルチメディア情報端末では、チケットの発券や荷物の発送などに加え、電子マネーの受取ができます。ファミリーマートの「Famiポート」、ローソンの「Loppi」などを想像してもらえると良いでしょう。
電子マネーの主流がプリペイド型である限りは、現金でのチャージが必要なので、いずれATMがこれを担う機械になる、というのは悪くないのではないでしょうか。