デザインの練習(ATMのデザイン5):猫でもできるグラフィックデザイン48
引き続きATMのデザインについて考察しています。ATMで一番操作が複雑になるのは「他行への振り込み」をする時です。これをスマートにするためにはどうすればよいのでしょうか。
情報の組織化の手法として、「LATCH」を紹介しました。LATCHを使って銀行の分類をするとどうなるのか、順に追っていきましょう。まずは「LOCATION」です。これは「銀行のある場所」でまとめる方法です。なかなか悪くないように思いますが、たとえば東京と沖縄とでは銀行の数が大きく異なるので、単純に都道府県別に分ける、というだけではだめかもしれません。
つぎに「ALPHABET」です。50音でわければ数もそれなりにばらつきそうですし、インデックスとなる50音は日本人であれば誰でも親しみがあるはずなので、一番妥当な気がします。問題があるとすれば、読み方が難しい銀行名がそれなりにある、というところでしょうか。
次は「TIME」です。銀行にまつわる時間、というとピンときませんが、「銀行の設立順」などが考えられますが、これは目的の銀行を特定するのには向いていない組織化といえるでしょう。
「CATEGORY」は、銀行の種類(都市銀行/地方銀行/第二地方銀行など)が該当しそうです。ただ、自分が利用している、あるいは振り込もうとしている銀行がどの銀行群似」属しているのかを知っている人はそれほどいないように思います。また、LOCATION同様、数のばらつきがかなりあるのでうまい分類だとはいえないでしょう。
「HIERARCHY」は、たとえば「最もよく利用されている振込先の銀行」や「口座数の多い銀行」を挙げると良いかもしれません。ただ、これだけでは不十分なのは火を見るより明らかです。
それぞれのメリットとデメリットを検証した結果として、現在は直感的で、かつカテゴリーごとの数が分散されている「50音順」が採用されています。勘の良い方はお気づきだと思いますが、LATCHの中のひとつを使うのではなく、どれかをメインに決めたらサブとして他の組織化を使うと、より親切で使いやすくなります。
銀行の一覧の場合は、50音順で探せるけれど、よく使われる都市銀行はバナーで目立つように表示しても良いですし、たとえば前回ユーザーが使った銀行は上位に表示するなどの工夫もできそうです。結論としては、「ALPHABET」と「HIERARCHY」の組み合わせであればスマートに誘導できそうです。