デザインの練習(信号機のデザイン6):猫でもできるグラフィックデザイン42
信号機のデザインについて考えています。歩行者用で用いられる二灯式の信号機は、車両用で用いられる三灯式の信号機に比べるとユニークなデザインのものが多いように思います。
テレビなどで、アニメーションを利用した海外の信号機が紹介されているのをご覧になったことがあると思います。歩行者用の信号機にはイラストが描かれる事が多く、グラフィックデザイン的な特徴が出やすい傾向にあります。いくつか紹介すると、オランダのユトレヒトにはウサギのキャラクターである「ミッフィー」を描いた信号があります。ドイツでは「アンペルマン」というキャラクターが描かれた信号があり、国を超えて愛されています。スイスではスマイルマークの信号があるそうです。日本でも神奈川県に手塚治虫氏の代表作「鉄腕アトム」のシルエットを描いた信号があります。
歩行者用の信号は、車両用の信号とは異なる特徴がいくつかあります。ひとつは、注目する人数が車両用の信号と比べると多いことです。もちろん設置場所にもよりますが、車両用の信号は停止線で止まった車両を含め、数台の車がみています。同じ信号機に従っているものの、数台後ろの車両は前の車両の動きに従っているだけで、直接信号機をみているわけではりません。一方で、歩行者用信号は数十人のひとが注目するため、デザインなどに工夫をするだけの動機になるようです。
また、信号機までの距離が近いのも違いのひとつです。信号機の大きさと、停止線にいる歩行者・信号機間の距離とのバランスが良いので、ランプ面にイラストを描いても歩行者から認識できるのです。信号の色だけでなく、イラストを使うことで色覚多様性の方や文化の違う外国人の方にも信号をより正確に伝えることができます。
一番の違いは、三灯式と二灯式の違いです。もちろん歩行者用に三灯式を用いている交差点もありますが、たいていは二灯式が使われています。二灯式は赤色と青色の二色なので、黄色の代わりに点滅で青から赤への遷移を伝えます。歩行者の移動速度が車両に比べて遅いことも、二灯式でも大丈夫な理由です。
歩行者用の信号機では「待ち時間」を表示しているものもあります。具体的に秒数をカウントダウンしているものや、スマホの電池残量表示のようなデジタル表示を使用してカウントダウンを表しているものもあります。待ち時間表示があると、待機している人のストレスが多少なりとも軽減されます。一方で、待ち時間の表示に慣れてしまうと信号の変わり目を見越して動き始める人もいるため、事故が増えるともいわれています。