デザインの練習(テレビのリモコン6):猫でもできるグラフィックデザイン34
今回もテレビのリモコンについての考察です。テレビゲームのリモコンを例に、ボタン数の多いリモコンでも両手で操作したり、画面側のユーザーインターフェースが充実していれば快適に使用できる可能性を指摘しました。
繰り返しになりますが、テレビのリモコンは物理的なボタンとインターフェースとを兼ねているので、ボタン数が多くなります。ボタン数が少なくても使いやすいApple TV、ボタン数が多くても快適に使えるPlaystationでは、画面側にしっかりとしたユーザーインターフェース(UI)が搭載されていました。
テレビでは画面側のUIが実装されていないわけではなく、古いテレビであっても設定などでは独自のUIを表示して操作することができていました。デジタル放送が始まった2000年代なかば以降に発売されたテレビでは、テレビ番組表表示機能が当然のように搭載され、これまで新聞で番組を確認していた人もテレビ画面で番組を確認するようになりました。ただ、2018年現在、新聞からテレビ番組表が無くなっているわけではありません。いろいろ理由はあると思いますが、おそらく使い勝手の点で、新聞のほうが画面表示よりも優れている点がいくつかあるからでしょう。
ひとつは「一覧性」です。現在売れ筋の50インチ前後のテレビであっても、可読性を維持しながら新聞と同じ情報を一画面に収めることは難しいでしょう。テレビはある程度離れてみるので、一画面中に納められる情報量には限界があります。
また、「操作応答時間」も問題です。テレビに搭載されているコンピューターは、パソコンやスマホ程は快適に使える調整がなされていないように思います。起動に時間がかかる、スクロールすると読み込みに時間がかかる、決定ボタンを押してから反応するまでに時間がかかる、などなど、操作応答時間に問題があり、ユーザーがそれらの機能をどんどん使わなくなってしまいます。これはエントリーモデル(一番安価で機能の少ないモデル)でも、フラッグシップモデル(一番効果で多機能なモデル)でも大差ありません。
おそらく、このあたりの問題をうまく解決したのがApple TVやPlaystationのトルネなのかもしれません。素早い反応とストレスのないナビゲーションは、快適なインターフェースの第一条件です。逆に言うと、画面側のUIがもっさりしてしまうのであれば、物理的なリモコンで「一発操作」させるのは正しい判断なのでしょう。