ひらがなで書く:猫でもできるWebライティング32
日本語ではいろいろな文字を使って文章を書きます。漢字、ひらがな、カタカナだけでなく、アルファベットや多様な記号を交えますが、このような表記体系をもつ言語は世界でも珍しいようです。
普段日本語で会話をして、日本語の文章を読み、日本語に慣れている人であっても、文章を書く際に適切な表記を選ぶのは難しいです。特に漢字は、常用漢字だけでも2,000文字以上あり、適切な文字を選んで書くのはとても難易度が高い作業です。
パソコンやスマホを使って文章を書けば、適切な漢字を選ぶのが少しだけ易しくなります。ひらがなから漢字への変換の過程で、自動で変換したり候補を挙げたりしてくれるからです。ただ、パソコンやスマホの変換に任せていると、読みにくくなったり、堅くなってしまうことがあります。
多くは「漢字でなくてもよい場面で漢字に変換されている」ことが原因です。いくつか例を挙げててみると、「殆ど」「有難う御座います」「可笑しい」「兎に角」「何故」などが該当します。もちろん大抵の方は読むこともできるし、意味もわかりますが、いずれも漢字である必要のない言葉です。日本語としてはもちろん間違いではないのですが、どことなく「伝わりにくい文章」になっていることがお分かりいただけると思います。
漢字が多いと文章が堅苦しくなるのは、漢字に高尚で難しいイメージがあることや、読める人と読めない人がいることなどが主な原因です。他にも、画数の多い漢字を多用すると文章全体として視覚的に黒い部分が多くなるからである、という研究もあるそうです。では、どの言葉であれば漢字にして、どの言葉であれば漢字にしないほうが良いのでしょうか。
当然、その基準が明確にあるわけではないので、自分で基準を設けるしかありません。たとえば、前述の「常用漢字」以外の漢字は使わない、とするだけでも難しい漢字をほとんど除くことができます。また、市販の「用例辞典」や「用語辞典」を基準にする、という手もあります。複数人数で文章を書く場合、とくに編集担当者がいない場合などには有効な手段です。
一番現実的ないのは「自分のなかに暗黙の基準をつくる」ことです。文章をたくさん書いていると、自分がよく使う表現や言葉が大体わかってくるはずです。その中で、読むのが難しそうな漢字や印象が堅くなりそうな表現を洗い出してみましょう。そしてそれらの表記方法をどうするかを決めて、今後文章を書く時に意識するだけで、書いた文章の印象はかなり良いものになっていると思います。