見直しと推敲:猫でもできるWebライティング11
「推敲」についての物語はよく知られている故事の一つです。「僧は推す月下の門」と「僧は敲く月下の門」のどちらが良いのかをじっくり考える様子から、書いた文章がより良くなるように見直したり修正することを指します。「推敲」という言葉は誰でも知っているにもかかわらず、実際には推敲されたかどうかが怪しい文章がたくさん溢れています。
書いた文章の見直しは、何度くらい行えばよいのでしょうか。筆者の経験では、少なくとも3回見直すと、文字の間違いや文章構造のおかしなところはほとんどなくなります。もちろん、時間さえあれば何度でも見直すことでよりよい文章にはなりますが、自分で書いた文章には「思い込み」という大敵がひそんでいるので、ある程度まで修正できたらそれ以上は良くなることはありません。
書いた文章の荒い間違いを修正するには、声に出して読んでみることをおすすめします。句読点の位置、漢字の間違い、送り仮名の間違い、修正した文章の「てにをは」の重なりなど、ざっくりとしたミスを拾うにはこれが一番です。
段落ごとに見出しをつけるのもおすすめです。見出しだけをピックアップして読んでみると、文章構造や話の展開のおかしいところがないかを確認することができます。本当は、文章を書いた後で見出しをつけて構造などを確認するよりも、文章を書く前に構造を考えて見出しをつけておくほうが楽です。
3度めの見直しが終わったら、やはり自分以外の誰かに読んでもらうべきです。すぐに「これ、何がいいたいの?」という辛辣なレビューがもらえるはずです。前述の「思い込み」を取り除くには、これ以外の方法がありません。レビュワーは多ければ多いほど良いですが、誰もが文章のレビューに慣れているわけではないですし、レビューされるとイライラすることもあるでしょうから、自分が信頼できるレビュワーを見つけることが大事です。
推敲したいけれど何をどうしたら良いのかわからない、自分の書いた文章がどのようにおかしいのかがわからない、という方は、他の人が書いた文章をたくさん読んでみることをおすすめします。小説でもブログでもよいですが、自分が書きたい文章のスタイルに近いものを読んだほうが効率よく学べます。
Webライティングという点でいえば、一度書いた文章を公開した後、修正したほうがいいポイントを見つけることもあるでしょう。こんな時はとるものもとりあえずすぐに直す、ということが大切です。文章を書いていないときの自分は、自分の文章を客観的に判断することができる貴重な状態ですので、これを活かさない手はありません。また「あとで直せばいいかな」という先送りをしてしまうと、おそらく直す機会は訪れないと思いますので、「気づいたときにすぐに直す、」原則です。