求人情報の意外な項目から社風がわかる。
高木です。おはようございます。
昨日の馬詰のブログでブラック企業のことが書かれていました。
いわゆるブラック企業といわれる会社の中にもいろいろありますねえ。
違法行為や犯罪行為は絶対ダメですが、そうはいっても経営者は法律の専門家ではないので、うっかり知らずにやってしまうこともあります。
たとえば、労働条件明示義務違反というのがあります。
労働基準法第十五条には次のように記載されています。
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
企業に採用された場合には、雇用契約書や労働条件通知書で労働条件を明示しないといけないわけで、これをやらないと罰則規定もあります。
けれども、知らない経営者は決して少なくないと思います。
そういう会社に対して、「違法だ!」「犯罪だ!」「ブラックだ!」と鬼の首を取ったかのように罵倒するのは簡単です。
しかし、できることなら間違いを指摘して是正してもらうことで、丸く収めるべきではないでしょうか?
また、労働時間については、同じく労働基準法第三十二条で次のように決められています。
第三十二条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
○2 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。
つまり、残業や休日出勤をさせるのは原則として違法なのです。
これには例外もあって、同第三十三条には、
第三十三条 災害その他避けることのできない事由によつて、臨時の必要がある場合においては、使用者は、行政官庁の許可を受けて、その必要の限度において第三十二条から前条まで若しくは第四十条の労働時間を延長し、又は第三十五条の休日に労働させることができる。ただし、事態急迫のために行政官庁の許可を受ける暇がない場合においては、事後に遅滞なく届け出なければならない。
とあり、災害などの場合には残業や休日出勤をさせることができます。
ただ、実際にはこれでは業務が回らないことがありますね。
同第三十三条では、そのための対策が施されています。
第三十六条 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この項において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。ただし、坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務の労働時間の延長は、一日について二時間を超えてはならない。
これは、いわゆる三六協定というやつです。
要約すると、通常の業務で残業や休日出勤をさせるには三六協定が必要不可欠であり、それ無しでは災害時などを除いて残業も休日出勤もダメなのです。
これも知らない経営者がそれなりにいることでしょう。
先ほどの労働条件明示義務同様、知らないでは済まないのが建前ですが、現実には問題に気付いた時点で是正をしていくべきでしょうね。
こうしたうっかりミスではなく、明らかに悪意をもって(わざと)違法行為や犯罪行為をやる会社は間違いなくブラック企業です。
決して関わり合いにならないほうがいいでしょう。
さて、前置きがかなり長くなりましたが、ここからが本題です。
求人情報を見ただけで、明らかに不誠実なことをやっていそうな会社というのはわかるものです。
ただ、労働条件なんかはそれなりに取り繕っていると思うので、給与や休日や保険関係の情報から読み取るのはなかなか難しいと思います。
その結果、求人情報に記載された条件と実際の条件が乖離しているといったことになるのです。
このたび、意外な項目から、その会社の社風というかブラックさを見抜くことができることに気づきました。
それは「従業員数」です。
同じ会社が複数の求人情報を出していることはよくあることです。
そこで、自分が興味のある求人情報だけでなく、同じ会社の他の情報にも目を通してみてください。
同じ受理日の求人情報であるにも関わらず、同じ会社の従業員数がバラバラだったりするのです。
単なるうっかりミスの可能性もありますが、多くは実際以上に会社の規模を大きく見せようとしていたりして、役員やパートナーまで従業員数に入れたりしている会社があります。
ハローワークなんかは労働保険(労災保険や雇用保険)をかけている労働者を従業員に数えるので、役員やパートナーを含めるのはおかしいのです。
ましてや、同じ日なのに人数がバラバラというのは論外です。
こういう会社は他のすべての記載事項も疑ってかかるべきです。
ところで、弊社にも求人情報に記載された条件と実際の条件が異なるという箇所があることがわかりました。
この場でお詫びとともに訂正させていただきたいと思います。
具体的には、契約社員の賞与は「無し」ということで求人情報に掲載していたのですが、就業規則や賃金規定を再確認したところ、契約社員も賞与を支給することになっていました。
というわけで、弊社の場合、金額の大小はともかく、契約社員にも原則として賞与を支給します。