怒りの葡萄
馬詰です。
たまには読書感想文でも書いてみましょうかね。
スタインベックの『怒りの葡萄』
アメリカ文学ですが、私は最初の数ページを行ったり来たりして、なかなか波に乗れませんでした。
外国文学はなかなか波に乗れないものが多いです。
波の乗れないとなかなか読み進められません。
この『怒りの葡萄』、冒頭の砂嵐シーンからなかなか先に進めませんでした。
最初の掴み、なかなか悪いお話です。
そこをクリアすると、非常に面白く途中でやめられへん、かっぱえびせん状態になりましたが。
掴みが悪いのに何回もチャレンジしたのには私の母としての意地がありました(笑)
次男坊がこれをいとも簡単にクリアし、スイスイ読んでいる姿を先に目にしていました。
私が断念するわけにはいきません。
正義感によって追われる身になった主人公トム・ジョードに非常に共感しました。
豊かな者は理不尽に利己的で、貧しい者ほど他者への愛に溢れています。
私は、自分でいいますが無駄に正義感があります。
まぁ、それで自らしんどいことをするわけですけれど。
そうしないと自分に対するプライドが許せないのです。
そんな私ですから、この主人公のトム・ジョードのやることが痛いほど刺さってきます。
そして、そのトム・ジョードを生み育てた母親が素晴らしいのです。
どんな困難も家族が一緒にいることで乗り越えていけると信じ、家族を支えていきます。
一番感動したのは最後の場面です。
崇高で、あまりに慈悲深く、そこにひと筋の光がさしていました。
文庫本の中に光が見えたような錯覚を覚える、そんな終わり方でした。
子どもは親の姿を見て育ちます。
また、自分の過ちを子どもに償わさせることにならないよう、自省の念を持って日々精進しなければと思う、そんな小説です。