手取り25万貰うには?
こんにちは、高木です。
最近、「手取り25万貰うにはいくら稼げばいいか?」というフレーズを見る機会が増えてきました。
調べてみると、元ネタはPRESIDENT Onlineの2013年4月15日に掲載された記事のようです。
決して新しい記事ではないのですが、LINEで広まったのでしょうか。
この記事の主張はおおむね当たっているのですが、業種や職種にもよるので出てくる数字がそのまますべてに当てはまるとは考えないほうがいいでしょう。
実際、その辺が読み取れない人は多いようですし、中には丸っきり理解できていない人も少なくありません。
はてなブックマークのコメントを見れば、いろいろな反応があって面白いですね。
この記事を読んで、私が学校を卒業して最初に就職したメーカーのことを思い出しました。
その会社では、間接部門の比率が大きく、工場での1時間あたりの工賃が1万数千円にもなっていました。
一部の高給取りの単価ではなく、当時時給600円台だったパートタイマーひとりの時間単価が1万数千円だったのです。
そのメーカーはちょっと極端な例ですが、入社間もないころの新人研修でそれを教えていただいたのは今でもよかったと思います。
クローバーフィールドの場合はそんなに大きな会社ではないので、従業員あたりの平均という意味であれば、自分の給料の3倍も稼がなくても大丈夫です。
おそらく2倍もあれば十分でしょう。
ただし、それは事務職のような間接部門も含めての話です。
技術職の場合、客先に常駐しているいわゆるSESであれば、自分の給料の2倍も稼ぐのはまず無理です。
直接部門であるにも関わらずです。
ただ、これは技術職従業員本人の問題というよりはビジネスモデルの問題といえます。
事務職の場合は間接部門ですので、直接稼ぐというのは実質的に無理ですし、そのような役割でもありません。
自分の給料の何倍という意味では0倍と数えざるを得ません。
このように、技術職や事務職の稼ぎが期待できない状況であれば、営業職にすべてのしわ寄せが行くことになります。
結果として、営業職は自分の給料の3倍稼ぐ必要が出てくるというのは、確かにその通りなのです。
ちなみに、クローバーフィールドの場合、90万円の粗利を出すためには300万円程度の売上ではとても無理で、ざっと1300万円程度の売上が必要になります。
ここで大切なことを忘れてはいけません。
個々の職種、あるいは個々の従業員について見ていくと上記のようになってしまいます。
けれども、稼ぎが少ないからといってその人が無価値なわけではありませんし、稼ぎが多いからといってその人が単独で利益を出せているわけでもないのです。
仮に、営業職の従業員が自分の給料の何倍もの粗利を上げていたとしても、その人ひとりの力でそれが達成できるわけではありません。
受注した仕事を実際にこなす技術職が不可欠なのはもちろん、事務職のサポートがあってはじめて達成できています。
つまり、個人プレーで給料の何倍とかではなく、あくまでもチームとして利益を上げていかなければならないのです。
せっかくなので、私自身についても考えてみることにします。
「君は会社という組織に属さず、何もかも1人でやって、25万円のお金を月々コンスタントに手に入れることができるかね?」
と尋ねられると、ちょっと返事に困ります。
自分一人で営業もやって、仕事を受注すれば自分一人でそれをこなして、自分一人で契約も請求も納税もすべてやっていた時期もあります。
しかしそれだと、お金の計算とかがとくに苦手な私には、仕事のかなりの部分が苦痛でしかありませんでした。
私が代表をやっている株式会社きじねこについても、初期のころは実質的に私一人で運営していましたが、すぐに自分の無能さを痛感することになりました。
現在では、従業員の助けがあって、どうにかこうにか存続できているのが実情です。
ここまでダラダラ書いてきましたが、そろそろまとめに入ります。
個人で活動するときには個人で活動するときの、チームで活動するときにはチームで活動するときの戦術があります。
チームを運営するとき、個人個人の活動の集合がチームだと考えていてはうまくまわっていきません。
ひとりやごく少人数のときは各個人が一騎当千の強者ということもあるでしょうが、組織が大きくなるに連れて各個人の能力は平凡なものになっていきます。
従業員に手取り25万円を払うためにはどれだけの費用がかかるかを知ることには価値があるものの、それを知ったところで十分な収益を各従業員が上げられるわけでもありません。
やはり、個人の力量にできるだけ依存しない戦術を確立することが大切なのだと思います。
まさに「作戦は凡兵を前提として立案せよ」であり、精鋭を前提とした作戦・戦術は大抵失敗します。
これからもクローバーフィールドはどんどん組織が大きくなっていくことでしょう。
来年2016年からは、「自分の給料の何倍稼げ」という精神論ではなく、当たり前のことを当たり前にやっていれば自然にそれが達成できる体制を確立していきたいものです。